この事例の依頼主
10代 男性
相談前の状況
被害者(大学院生)は、片側1車線の市街地の道路(制限速度時速30キロメートル)を自転車で進行していたところ、後ろから時速75キロメートルで走行してきた普通乗用自動車にはねられた衝撃により約24メートル跳ね飛ばされた交通事故により、頭蓋骨骨折、肋骨多発骨折、骨盤骨折、多臓器損傷などのけがを負い、救急搬送され病院に到着した際には、すでに心肺停止状態でした。病院にて心肺蘇生等が行われましたが、反応がなく、死亡したという事案です。加害者は、45キロオーバーの速度違反の他、被害者を救護せずその場を立ち去ったり、警察の取り調べに対しても嘘を述べるなど、悪質性が顕著でした。
解決への流れ
本件において争点となったのは、死亡による慰謝料です。当初提示された2200万円は、通常の交通事故であれば、あながち不当とまではいえない金額であったものの、本件の加害者側の悪質性を考慮した場合に、さらに増額されるべきとの主張をして交渉しました。本件では、加害者は刑事裁判となっていましたので、加害者の刑事裁判の判決が確定した後に、刑事裁判の記録を取り寄せ、加害者の悪質性を示す資料として保険会社に提出して慰謝料増額の交渉を行いました。その結果、死亡慰謝料について600万円の増額に成功しました。
被害者が交通事故により死亡した場合の慰謝料は、一家の支柱かどうか、配偶者がいるかどうか、家族がいるかどうかによって一応の目安としての金額が定められていますが、本件のように大幅な速度オーバーやひき逃げ等の事案の場合には、慰謝料増額事由として考慮されることがあります。このような悪質な死亡交通事故の場合、刑事裁判になることが多いと思われます。刑事裁判での加害者の態度や捜査段階での供述の様子なども慰謝料を決めるうえでの重要な要素となります。刑事裁判は誰でも傍聴できますし、被害者参加手続きもあります。刑事裁判の記録(実況見分調書や加害者の供述調書)も入手することが可能ですので、是非、弁護士にご相談ください。※この解決事例はご依頼者様の賠償金の増額を保証するものではございません。賠償金の額は年齢、職業、収入、おけがの程度などによって異なります。ご了承ください。